人類史上最大の偉業を成し遂げようと意気込む我々を穏やかな夜明けが迎え入れます。
ここは川崎大師、これから始まる伝説の舞台となる場所です。
過ぎし1月8日は成人の日でしたね、今回は成人の日を記念してカラオケ企画を立ち上げました。
カラオケ企画と言っても、数時間歌って帰るような生温いものではありません。
骨身を削る48時間カラオケの達成を目指した耐久カラオケです。
一人でライオンを狩れて初めて成人と認められる部族があるように、我々現視研では48時間カラオケを達成して初めて一人前と認められるのです。
ちなみに現視研はこれまで何度も挑戦し、その度に敗北の味を噛み締めて来ました。
今回は作戦を変えて、混雑度の少ない平日を攻めてみることにしました。
集まったメンバーは以上の5人、このうち2人は今年成人であり、成人の儀式の意味合いが増してくる構成となっています。
今度こそという想いを抱いて川崎大師に到着、偉大なる挑戦を目前にして興奮状態のままカラオケ店の自動扉の前に立ちますが、何故か扉は微動だにしません。
なんと平日は24時間営業ではありませんでした。
営業時間の表示を見て打ち拉がれる一同、「留年が決定した時のような絶望感を思い出す」とN氏は語ります。
仕方がないので24時間営業しているカラオケ店のある横浜に移動し、2時間のロスを痛みながらカラオケを開始します。
出鼻を挫かれた感が強いですが、それを取り返すべく破竹の勢いでアニソンを歌っていきます。
一先ず拠点を手にしたのも束の間、場所が横浜繁華街という事もあり、混雑度は刻々と増していき、13時には退出の御達しが来てしまいました。
開始から6時間も経たずして二度目の死、完全なるルーザーです。
あの手この手で48時間カラオケの達成を阻止せんとする世界の意志すら感じます。
最早48時間カラオケは達成不可能となってしまいましたが、これでは流石に何しに来たか分らないということで、死に恥を晒す覚悟で川崎大師に舞い戻りました。
平日の開店時間が10時からということを除けば、安息の地以外の何物でもない川崎大師店。
もう退出の恐怖に怯えることもありません、今日からここが我々の住居です。
一頻り歌った後、今回の目玉企画である"他人選曲カラオケ"を実施しました。
カラオケは本来自分の歌いたい曲を自分で選曲するものですが、他人に選曲してもらった曲を自分が歌うというもので、これには選者と歌者の信頼関係が要となる高度な心理戦でもあります。
この時、曲名を伏せて選曲することで、当人は何を歌わされるのか分からない仕様になっています。
歌わせる順番はくじ引きで決めました。
ここからはそんな"他人選曲カラオケ"のハイライトをお送りします。
トップバッターはcjhmltf-w君、007fy君の斜め上を行く選曲に苦戦を強いられるも持ち前の基礎戦闘力の高さで応戦します。
続いて007fy君、私が選んだのは玄人でも識別困難とされるTRUEさんの楽曲。
流石はアニメ博士と呼ばれるだけあって「最弱無敗の神装機竜」のOPを辛くも歌い切り難所を潜り抜けます。
今度は私の番です、N氏からの選曲は私が最も苦手とするアニメの主題歌を重点的に突く嫌らしい戦法でげっそりと精神を削られました。
そんなN氏は鈴木君の恐るべき選曲に成すすべなく崩れ落ちる一幕も。
まさかのメドレー選曲に一触即発の事態となりますが、何度でも始まる"ハム太郎とっとこうた"によって窮地を脱します。
最後は鈴木君、余りアニメを見てないこともあって寧ろ選者が戸惑うという珍しい展開に縺れ込みました。
「きんいろモザイク」の映画で連番になった時お互い一言も会話することなく見終わり帰路に着いたという逸話を持つ二人でしたが、最終的にセカオワの曲で通じ合い親睦を深めることが出来たようです。
短くも険しい戦いが終わり、時刻は0時を回りました。
ここまで正味18時間、少人数で回していくカラオケは心身を疲労困憊させ、それでも何とか気力で歌い続ける状況は、宛ら無間地獄のよう。
ここで幾ら頑張ったところで48時間の夢は既に挫かれているという考えが我々に纏わり付きます。
一人、また一人と脱落していき、とうとう私も力尽きてしまいます。
翌朝6時、これ以上続けるのは困難ということで、撤退を余儀なくします。
あれだけ前人未到の偉業を成し遂げると息巻いていたのに、いざ蓋を開けてみれば実働たったの21時間という不名誉。
家に帰り、失意のまま眠りにつきました。
48時間カラオケは構造上実現不可能でした。
我々がこれまでしてきた努力は全て水の泡と帰したのです。
何が間違っていたのでしょうか。
我々はただ、カラオケ店で穏やかに暮らしたかっただけなのに。
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