2022年12月25日日曜日

2022年のアニメを総括する『アニメ総決算2022』

 オタクの殿堂、海洋大現視研クリスマスアニメ総決算!

 今年も沢山のアニメを見てアニメ業界に貢献したアニメのエキスパートによる、アニメの祭典がここに開かれました。

 アニメ総決算とは、事前にサークルメンバーがそれぞれ今年のアニメのベストエピソードを10話ずつ選び出し、その内からさらに厳選して24話分を鑑賞する企画です。

 年内に放送・配信されたアニメの中で、優れていたエピソードを振り返り、讃え、スタッフを労い、アニメの良さを再確認する、2015年より毎年開催されている恒例行事となります。

 プログラムはこちら

・機動戦士ガンダム  水星の魔女 第1話「魔女と花嫁」

 いやー、この企画の後に放送された第11話も良かったね、という話。「水星ってお堅いのね」で一躍オタクの心を掴んだ、今年を象徴すると言って過言でないアニメがトップバッターは納得感があるのではないでしょうか。

 頭の硬い往年のガノタでも受け止めて貰えるように、構成も懇切丁寧に練られて作られている印象を受けます。ガノタの方も、停滞状態に陥った長期作品を打開するために、制作側の姿勢を積極的に受け入れようとする意志を垣間見えて、全てが再始動という御旗のもとに協調していて、良い流れが来ているようにも思えます。

 ガノタと言えば、新しいガンダムが始まる度に心を濁らせ、悪口雑言の留まるところを知らず、「ガンダムを見ないことが一番の心の安寧」と云われる程に荒廃した様相を呈していましたが、時代も変わるものですね。

・地球外少年少女 第4話「セブンズ・パターン」

 世界的アニメーター・磯光雄監督が手掛けるオリジナルアニメで、Netflixで今冬に先行配信、小劇場で公開もされました。NHKにて土曜夕方6時半に放送され、お茶の間に衝撃を与えた『電脳コイル』から約15年。その後、少年少女が宇宙で生活する近未来宇宙SFを温めていたと思うと感慨深いものがありますね。

 ただ、人類の愚かさの象徴たる馬鹿チューバーの美衣奈に、人類の地球外移転のきっかけという大役を背負わせる結末は如何なものでしょうか。自ら何も選択することのなかった、ただ既存のプラットフォームに乗っかり、自分でない何者かの活躍を写す目でしかなかった、最も滅ぼした方がいい美衣奈を描写した上で、AIに再試算させた結果として人類滅亡が回避できたのは、理由付けとして少々浅い気がします。

「アムロ、地球上に残った人類などは、地上のノミだという事がなぜわからんのだ!」

                    -機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988)

「あの美しい星を人類は醜く破壊してしまうだろう。それで君は満足なのか?」

                                                                       -バブルガム・クラッシュ(1991)

 斯様な話は既に昭和で辿り着いた境地なのです。しかもその上で、視聴者に問題提起もしています。愚かな人類も宇宙船地球号の機構であり、その末路もまた地球が選んだ未来である、くらいの結末にしても。まぁ語りたいことが尽きないのは良い作品であるとも言えましょう。

 まさかガンダムで、女性主人公でしかも百合の波動に目覚めた脚本が拝めるとはね。令和初のテレビシリーズガンダムからの思わぬ収穫に気が動転する日々です。

 9時台は宇宙SF縛り。ロボットアニメ縛りも考えましたが、マブラヴオルタナティブとメガトン級ムサシくらいだったので流石に自制。昨年は近年稀に見るロボットアニメイヤーで、昨年開催されたアニメ総決算でもロボットアニメに始まり、ロボットアニメに終わるプログラムでしたが、今年は水星の魔女以外は小粒でした。

・BIRDIE WING -Golf Girl's Story- 第8話「ファイナル・バレット」

 待ってました!令和のスクライド、令和のプロゴルファー猿と言われ、その実、ポスト悪魔のリドル。そこそこ無茶な展開してましたが、楽しい作品でした。

 バンナムピクチャーズが制作していることもあってか、ガンプラが主要アイテムとして登場しますし、シャアとアムロの声優も起用されています。しかも名前がアムロ・レイヤとそのままで、もうちょっと捻ってくれ・・・。

・Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ- 第6話「DIYって、どうでも・いいもの・やくにたつ!」

 水着回最高~!全国のたくみんファンには堪らない回でしたね!

 ぷりんとせるふの関係性に隠れて見え難いですが、たくみんが持つ潜在的魔性に気付く奴がおるんじゃあ、気付く奴が!

 百合ダンス好きぃ~。

 10時台は、おじさん趣味を女の子にやらせる系で纏めてみました。美少女ゴルフアニメと言えば、去年12月31日放送ということで惜しくも選考から除外されてしまった空色ユーティリティがありましたが、まさに二大巨頭。バディゴルと並んで上映される光景を見たかった・・・。

 DIYは、新潟県三条市が舞台ということで、わたくし、井口ゆゆゆもふるさと納税させていただきました。ストーリーを成り立たせるのと、地域の魅力を伝えるののどちらも両立させるのは至難の業となりますが、上手く出来ていたと思えます。

 同じくおじさん趣味を女の子にやらせる系の先駆的作品であるヤマノススメもDIYと同じ今秋に放送していましたが、松尾祐輔さんの仕事量はどうなっているのでしょう。二足の草鞋状態で大変だったと思いますし、視聴者的にもクールを分けた方が一つ一つに集中できた気もします。

・アオアシ 第13話「転」

 この作品、第12話まで普通のサッカーアニメ面をしてきて、第13話のこの回で急転直下を迎えるんですよね。ここが物語の起点であり、ここまでのユースの活躍劇を切り捨てるが如く新たな展開が始動する。大胆かつ華麗にフェイクを効かせたNHKの辣腕には、拍手が止まりませんでした。

 ディフェンダーとして本領を発揮する第23話も捨てがたく、どちらを選ぶか悩ましいところでしたが、動的な需要としては第23話の方が良かったかな。

・ブルーロック 第9話「覚醒」

 BLランキングが高い方が勝つ!でお馴染みのブルーロックからは、伍号棟最強のチームVとの試合で、蜂楽を筆頭にチームメイトが次々に覚醒していく回を選出。男子高校生を監禁してBL力を高めさせる設定のトンデモさと裏腹に、意外と地に足着いたサッカーもので来冬からの2クール目も楽しませてくれそうです。

 唯我独尊でエゴにまみれたプレイこそが、勝利への飽くなき求心を生むという考えから、全員フォワードの超攻撃的スタイルで選手選抜をしていくというのは、生きるためのサッカーをするような貪欲さが無く、負けても感動をありがとう!で終わりがち日本のサッカーに対するアンチテーゼになっている訳ですが、戦わせてぇなぁ、チームの完成度で勝負するアオアシの福田監督とよぉ。

 2023年はFIFAワールドカップで沸いた年でもありました。オリンピックもそうですが、こういったタイミングで、スポーツアニメを打って出るのは世の常で、果たして陰キャのアニメオタク達にスポーツアニメを見せて何か効果があるのは甚だ疑問ですが、今年はアオアシやブルーロックの他、シュートも数年ぶりに再アニメ化していましたね。

 そもそもこういった全国大会になると何故一丸となって陽キャを応援しなければいけないのか、意味不明すぎる。オタクの中には、学生時分に陽キャにいじめられてきた過去をきっぱり忘れて、野球やサッカーを応援している輩も居ますが、健全な状態とは言えませんね。世の中をおおおお、変えたいいいいいい!

・明日ちゃんのセーラー服 第11話「同じ時間…みんなと…」

 まず言いたい。この作品を世に出してくれた原作者の博先生に、ありがとうと。そして、この作品をアニメ化してくれたCloverWorksの皆さんに、ありがとうと。

 優しく、穏やかで、とても幸せな時間だった・・・。数千数万の言葉を用いても、この作品の魅力を語りつくせない。ただ一つ言えるのは、2022年を切り拓いた作品だという事です。このアニメがあったから、今の2022年がある。人類の大切な遺産です。

・その着せ替え人形は恋をする 第8話「逆光、オススメです」

 実際コスプレイヤーは、売女よなぁ。なんじゃあ、喜多川海夢って。なんじゃあ、ジュジュ様って。下賤な趣味で御高説垂れられても、片腹痛いんだよ。

 オタクを題材にした作品というと、硬派なところでげんしけんやアニメガタリズ、おたくのビデオ、軟派なところで俺妹などが挙がりますが、この作品の分類は確実に後者ですね。そういった意味では、ニューエイジ・オタク観もあるのかも。このくらいの浅さ、浅ましさが大衆受けするんですよね。やっぱどこにも媚びずオタクの肖像に一意専心だったアニメガタリズって神だわ・・・。

 ということで、12時台は服飾系で固めてみました。今年は本当にCloverWorksの当たり年でした。方向性の違う明日ちゃんと喜多川海夢という二作品を両立させて、そのクールを席巻していました。

 まぁ皆さんお忘れの事かと思いますが、実は明日ちゃんと喜多川海夢の影に隠れて、東京24区というアニメも、冬期に放送していたんですよね。二作品が一切落とさずに満点のクオリティーを維持してファンを唸らせた他方で、放送延期に総集編にと散々たる出来で、ちっとも話題にならず静かに息を引き取った東京24区。トロッコ問題を題材にした先進的な作品でしたが、明日ちゃんと喜多川海夢という二大アニメを成り立たせるために、自ら犠牲になって作品自体でトロッコ問題を実践していた事実は、あまり知られていない。

・よふかしのうた 第1話「ナイトフライト」

 なずなちゃんのロケットおっぱい流石にエロすぎやって。

 一話以降の失速度合いが尋常ではなかったですが、洗練された映像美とCreepy Nutsの陽気な音楽があれば、内容なんてどうでもいいのかもしれません。今年は吸血鬼アニメが多く、月とライカと吸血鬼やヴァニタスの手記、ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデンなどがありました。またこの後出てくる邪神単にも吸血鬼の新キャラが出てきました。こんなに乱発して、オタクもいい加減飽きないのでしょうか。否、オタクは単細胞なので、夜を支配する吸血鬼への憧憬は尽きないのです。

・邪神ちゃんドロップキックX 第9話「富良野に潤むラベンダー色の瞳」

 臓器、売ろ?

 邪神ちゃんのアニメも今年で三期目となる訳ですが、我が現視研のアニメ総決算で選出されるのは、意外なことに初となります。しかも選ばれるのがこの回とは、因果なものです。

 ふるさと納税で集めた金を制作費に充てる実験的な試みを行い、実際に縁も所縁もない富良野市を含む4市とコラボを漕ぎ着けた、邪神ちゃんスタッフの挑戦的な姿勢は評価すべき点です。手を挙げた富良野市側も、北市長を筆頭に観光誘致に真剣に取り組んでいて好印象を受けますし、最終的には一転して決算審議も認定されたということで、引き続き富良野市を応援していく所存であります。

 邪神ちゃん富良野問題の面白いところは、富良野回放送の直前にラブライブが、富良野市からほど近い中富良野町のとある宿泊施設を無許可で劇中で登場させ、オタクお断りとなってしまった大変悲しい事件を経た後に、カチコミとばかりに富良野回を放送し、結果的に大炎上しているところですよね。いや、全く面白くない。

 正直、考えさせられます。ラブライブ富良野問題は、単純にキャパの問題で、ラブライブほどの巨大コンテンツを受け入れられる施設に限定して聖地化すれば解決する話ですが、邪神ちゃんのふるさと納税編は、物語の脈絡なく唐突に地方に飛ばされて始まりますから、視聴者としては面食らう訳です。原作者の監修も入り、邪神ちゃんワールドが展開されてはいるものの、その風土、名産などを存分にアピール出来ているのか。その土地を訪れて、好きになって、入れ込んで、その熱意で以て表現しなければ、やはり突飛なものに感じてしまいます。千歳編の大成は、あくまで神保町を抜け出した初の旅情編として描いた故であり、限界異常行動オタクでもない限り、南島原の翌日に富良野に行く、みたいな話はナンセンスなのです。

 DIYの三条市なんかは理想的な塩梅と言えましょう。作者が出身のヤマノススメやゆるキャンも強いですね。かといって邪神ちゃんが全て駄目かというとそうでもない。熱意ある漫画家やアニメーターを育て、商業的意図が目立ち過ぎないように細心の注意を払いながら、魅力を発信していく。また我々ファン側も、金を惜しげなく落とすことで良い物を廃れさせず伸ばしていく。この双方向の関係が、ゆくゆくは日本全土萌え化を現実のものとする訳です。日本には全国各地に萌えがあるんだ、日本には八百万に萌えが宿るんだ、と海外に知らしめていくことが、国力の発展にも繋がりますからね。邪神ちゃん富良野問題が日本の将来の話にまで発展するとは、流石は一大コンテンツですの。ですの。ですの。。。。。

・てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!! 第2話「キャトルの章」

 問題作その2。安部元首相が暗殺されたことを受けて、放送休止になった伝説の回です。あまりにセンシティブ!!!!!!

・うちの師匠はしっぽがない 第13話「全部師匠が教えてくれた」

 師弟百合、ケモ百合、大正百合、この世の全てが手に入る作品であるところのしっぽなからは、最終回を選出。四天王の悪巧みで大黒亭を破門となり、長らく師匠と会えなかったまめだが、遂に再開し抱きしめ合う。いてこまされて、いてこまされて、緊張が緩和して安心がふわりと降りて感動が起きる。一視聴者から作品のファンに生まれ変わった瞬間だった。

 今秋は、このクラスの超弩級百合アニメがゴロゴロ放送していて、化け物過ぎるわ。こんなに毎日が楽しいクールは何年振りでしょう。初めての体験かもしれません。もう二度と来ないかも。2022年秋をアニメと共に過ごせた幸せを噛みしめながら、思い出をよすがに生きていくことになるのでしょう。

 14時台は、落語、漫才、所謂演芸を題材にした作品群となります。落語といえば、しっぽなと似たコンセプトで、じょしらくという作品もありましたが、あちらは東京の落語、こちらは大阪や京都の、天皇が住む都を上と捉えた、上方落語といいまして、10年間の時を経て、奇しくも東西対決となっていたのであります。じょしらくは落語をやりませんが。

 そして漫才。近年は落語に比べて非常に華やかなイメージが持たれ、アニメで言えば近々に美水かがみ原作のまえせつが放送していましたが、なかなかアニメで漫才の間を表現するのに苦しんでいるように見受けられます。何にしても、本来選ばれるような作品ではないてっぺんが選出されたのは、紛れもなくしっぽなの栄光のお零れですから、感謝せぇよ。

・サイバーパンク:エッジランナーズ 第6話「Girl on Fire/炎に包まれて」

 この第6話から主人公チームの崩落が始まるんですよね。監督、今石洋之、キャラデザ・総作監、吉成曜、アニメーション制作、TRIGGER。原作はポーランド製のゲームということになりますが、そのゲーム自体が1980年代アメリカ発テーブルトークを原典に持ちます。グリッドマンもそうでしたが、TRIGGERの目の付け所になかなか驚きます。

 配信に合わせて世界規模でプロモーションを打った事が功を奏し、ゲーム内では随分と活気付いたようです。実際に、レベッカの弔いとばかりにアダム・スマッシャーをボコるプレイ動画が挙って上がっていたのが面白かったですね。ネトフリは一挙配信スタイルが多く、ライヴ感が生まれづらいのが難点。テレビアニメであれば、ムーブメントが少なくとも3カ月は続きますし、SNS等での話題の共有も起きやすい。そんな中でも善戦したこの作品によって、配信の未来に光明が見えたように思いますね。

・エスタブライフ グレイトエスケープ 第6話「リーダー業から逃げられない」

 なんとなくこの回選んだけど、違ったなぁ~~~。他があまりにポンコツ過ぎてリーダーが風邪を引いても現場に赴かなければならない、ブラック企業の極みみたいな回をなんで選んでしまったんだ~~~。

 第4話の脳内会議の回の方が良かったですね。谷口悟朗監督が指揮を執る、謎のアニメ。人が何でもなれる近未来SFな世界観で、実際にロボットや獣など、果てはスライムにまでなっています。また、主人公は違う土地に行きたい人達をアシストする逃がし屋を営んでいて、この辺のアプローチも面白い。今後も映画化などを控えているようですが、ポテンシャルのある作品だと感じます。スクライドやコードギアスでお馴染みの谷口悟朗監督ですが、この作品やファンタジスタドールのようなコアな層に向けた作品群も抑えていて才能に隙が無いですね。ポリゴン・ピクチュアズのCGも見違えていた!ズバリ、選出されるべき作品です。

 ここは組み合わせに悩んだゾーンですが、なんとなくサイバーパンクな作品?世界観が独特な作品をセットにしてみました。この二作品を通して何を感じるかですよね。

・時光代理人 -LINK CLICK- 第2話「秘伝のレシピ」

 2022年は熟年百合が熱い。冬期から上質な熟年百合を摂取して満悦に浸っていたところを、わたてん映画でさらに浴びてマジ過呼吸。

 おっ、このアニメは違うな、と思わせる異質さがありましたね。ビジュアルは今風のホモアニメチックでありながら、まず中国特有の生活事情に虚を衝かれ、構成の巧さに骨抜きになるという。エマ回も、バスケ部の母親の回も、最後のエマも全て良かったものの、やはり地続きのエピソードでもあるので、簡潔に作品の方針を示しつつ、単体としての完成度も高いこの回を選出させてもらいました。結果、プログラム全体を通しても引き締まりましたね。凄く良かった。

・四畳半タイムマシンブルース 第6話「episode 6.」

 ディズニープラスで独占配信やめてくれー。

 サマータイムマシンブルースの上田誠と四畳半神話大系の森見登美彦のコラボレーション小説が原作、という事で夜は短し恋せよ乙女とかの縁ですかね。いつの間にか謎に実現していたこの企画が堂々アニメ化。まとめたものが小劇場での上映もされました。選出した第6話は配信限定エピソードで、京福鉄道という存在しない鉄道を空想する研究会で無意義なキャンパスライフを過ごす、四畳半神話大系を彷彿とさせる脚本に感動しつつ、この後の全宇宙を巻き込むタイムマシン騒動への前日譚として機能しているギミックに舌を巻きます。

 ここまで過去に戻る系で繋いでみました。写真を媒介にする時光代理人と、タイムマシンに乗る四畳半タイムマシンブルース。写実的な雰囲気も近く、組み合わせだったように思います。

・サマータイムレンダ 第22話「帰還」

 今年を振り返る上で、この作品は外せませんね。ひぐらしのなく頃にフォロワーの作品であることは言うまでもないですが、黎明期にあったひぐらしは、元は同人ゲームであった経緯からも方向性も手探りで試行錯誤の作品でしたが、この作品は、時代を経て磨きの掛かったコンパクトに面白さの凝縮された作品になっていました。これぞ時代の正しい使い方ですよ。

 友ヶ島舞台ということで、和歌山県も結構力を入れてコラボしているようで、聖地巡礼をする機会を狙っているところです。普段、和歌山県が舞台のアニメというと数少ないのですが、今年は珍しく冬期放送していた錆色のアーマもそうでした。雑賀一族が題材の作品でしたが、本編後の声優が和歌山の名所を紹介するコーナーが楽しかったですね。

・シャドーハウス第2期 第11話「ふたりの答え」

 昨年に引き続き、二年連続の選出となりました。が、正直二期はそれほど心に響く回はなかったですね。我々はエミリコとケイト様の主従百合が見たいのであって、お屋敷がどうとか、影がどうとか、そういったものには一切興味がござぁ~せん!

 マリーローズとローズマリー、途中から何で戦ってるのかよく分からなかった・・・。ケイト様たちと成そうとしていること一緒では?

 実は昨年のアニメ総決算でも、シャドーハウスと王様ランキングで、カゲカゲした作品繋ぎをしていたのですが、今年になって、さらにカゲカゲした作品が台頭してくるとは思いもよりませんでした。

 サマータイムレンダは、今年のアニメ史において大変重要な存在なので、今回はお情けでシャドーハウスも入選しました。勝負は時の運。こういう事も、偶にはあるよね。

・ヒーラー・ガール 第6話「私の下僕におなりなさい・ロシア料理でいい夢を」

 ロシアロシア~♪

 東洋医学、西洋医学に並ぶ、第三の医学、音声医学。もうこの時点でだいぶキテるのに、オペ中に手術室に入ってきて端で歌っている映像とか、狂気に他ならない。確かに、少女の成長物語として上手く組み立てられているんです。だけど、それによってスピリチュアルパートの怪奇さが薄まって見えてしまうのが、カルトの手口すぎて恐ろしんですよね。

 さらに第6話はカルト×ロシアという二重苦を背負っています。春放送の作品ですが、前年秋には完パケしていたということで、間に合わず放送しちゃったみたいですね。間に合わず放送できなかったは頻繁に聞きますが、間に合わず放送しちゃったはもう笑うしかない。ピロシキも、ボルシチもロシア料理ではない。ロシア料理でいい夢をって、アカンやろ。

・アキバ冥途戦争 第3話「メイドの拳、膵臓の価値は」

 今年最も笑わせてくれたアキバ冥途戦争より、ゾーニャ初登場回である第3話を選出。全ての回が神回であるので、どの回を選んでも申し分なくその実力を発揮してくれる頼りがいのある作品ですが、ヒーラー・ガールとの並びで敢えての思惑です。

 このサブタイトルもまぁまぁ過激ですが、実は放送直前に修正されてこの形になったもので、修正前はさらに過激なネーミングでした。去る12月6日に秋葉原エンタスで開催されたトークイベント「アキバ冥途戦争 豚小屋の宴~今夜はとんとこ!語らナイト!~」では、その他にも危険情報が登壇者の制作スタッフから多数飛び出し、全国のアキバ冥途戦争オタクと共に濃密な時間を過ごせました。今年の最も熱いアニメイベントに違いなかったですね。帰る頃には立派なケダモノランドの構成員として調教されて野に放たれます。オッケーダモノッッッ!

 2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が開始されました。2014年に始まった紛争が大幅に拡大した形となります。侵攻の兆候として、2月21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部の2つの地区の独立を承認したことが挙げられます。日本政府はロシア軍によるウクライナでの多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪であると明言しており、侵略が開始して以降、いくつかの制限措置を講じてきました。これに対してロシア側は、(北方領土問題を含まない)平和条約交渉を停止すると公表するなど、国外に留まらず、国内においても強い衝撃を与えています。

 今年はロシアが熱いからね!どちらの作品も完パケ後の悲劇であって両スタッフに政治的主張があるということはござぁ~せん!いやいや、ヤバすぎるこの流れは。この二作品が並ぶことによって、ロシアのウクライナ侵攻を筆頭に、旧統一教会問題、工藤会トップ死刑判決など、今年起きた日本のホットトピックを全て拾えている。ここが今回のアニメ総決算の核心部、この決断をいずれ時代が評価してくれることでしょう。

・ぼっち・ざ・ろっく! 第8話「ぼっち・ざ・ろっく」

 根暗でコミュ障で引きこもりで、ぼっちちゃんって、あたしやがな!!!!!!(ドスコイドスコイ

・パリピ孔明 第2話「孔明、計略を使う」

 第9話も感動したという声が大きかったですが、完全にAZALEA回で、孔明なんか最後にスポッと出てくるのみに留まるので、英子も孔明もバッチリ描かれて、しっかりと作品の色を出してきた第2話を選出するのは、必定。

 孔明が現生で初めて計略を使ったのがこの回で、石兵八陣ということですが、出口に行こうとするとトイレに誘導されてしまうことに気付かない観客たちの愚かさよ。所詮ライブハウスに来る人間なんてどこまでも阿呆な存在だと描写しているのが、滅茶苦茶笑えましたね。この後も孔明の計略を無理やり当て嵌めてライブの集客を謀る訳ですが、その度に観客の阿保さに救われています。それを見るのも楽しかった。

 盛り上がりも最高潮に達した19時台は、陽のパリピ孔明、陰のぼざろで音楽アニメ特集です。チキチキバンバンは今年のベストアニメソングなんじゃないですか、割とマジで。あの中毒性のある音楽と映像は、過去のピーエーワークス作品からは考えられない華やかさで、アニメOPとは斯くあるべきを体現した至高の出来栄えになっていましたね。その後のアキバ冥途戦争も同じ路線で素晴らしいものに仕上がっていて、OPの活用方法を理解したピーエーワークスは、今後間違いなく伸びます。

 そしてぼざろ。けいおん、バンドリと、歴史の節目節目に必ず出現するガールズバンドストーリーですが、よもやこんなに流行るとはね。それもこれも、ぼっちちゃんがあたしに似てるからやろうなぁ・・・。

・SPY×FAMILY 第4話「名門校面接試験」

 アーニャ、このアニメの事、好き。

・リコリス・リコイル 第9話「What’s done is done」

 話は3点、作画は満点といったところでしょうか。千束とたきなにキャラクターデザイン全振りで、残りは商品展開する気のないほぼモブ扱い。ちさたきで売っていきます!ちさたき至上主義!みたいな作品を作っておいて、最後の方の展開は本当にどうにかならんかったんですかね。神林裕介は脚本を明らかに違えてます。たきなの献身に対して、千束が余りにも機械的で、当初想定されていた人情味溢れる万人に好かれる主人公とは大きく乖離しています。それはちょっと世間は許してくれやせんよ。

 この手の百合アニメは歴史上、そういう売り出し方をしていて、かつ明確な描写があるにも関わらず、「これは友情の範囲内で~」とか「二人に恋愛感情はなく~」とか現実を曲げて言ってくる作品が多かったですから。今まで不自然に切り捨てられてきた不満への反発として、オリジナルで何も失う物のないリコリコは、その突破口を開けてくれる期待値が高かったのに、散々たる始末。その後の水星の魔女が、一歩踏み込んだところで勝負しているのを見ると、もう少し頑張れただろとは思いますがね。

 早いものでこの二作品で今回のアニメ総決算は最後となります。20時台は、設定ガバガバ殺し屋アニメみたいな。スパイは殺し屋ではないか・・・。設定ガバガバアニメ縛りですね。最近はこのくらいの程度の低い作品が好まれる傾向にありますが、オタクも餓鬼じゃないんだから、もう少し頭を使うような作品が台頭してきてもいいのかもしれませんね。

 リコリコには言いたいこと言っちゃってますけども、わたくし、井口ゆゆゆはBD買ってますし、期待の発露ということで、受け止めてくださいよ。劇場版では、ちさたきベッドシーンをよろしくね!

 ということで、百合に始まり百合に終わる形で駆け抜けてきた24作品、半日使って2022年のアニメを振り返りました。あっという間に感じたのは、今年のラインナップの豊富さによるのかもしれませんね。今年は本当にアニメが弾けていた年でした。アニメオタクとして、この豊作年を迎えられたのを誇りに思います。

 そして来年も、アニメが楽しい一年でありますように祈って、締めの言葉とさせていただきます。

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